【言葉と方法の工夫】

10月21日・22日、群馬県高崎市で開催された
『日本PTA関東ブロック研究大会』に参加してきました。

ワタクシが参加したのは第7分科会。
講演は教育評論家の親野智可等さんでした。
テーマは「子どもたちをよりよく育てるための、
学校・家庭・地域の連携のあり方について!」。
話の多くは親野さんの経験を交えた子どもとの接し方、
教育に関するエピソードでした。

 

【裏教育の怖さ】

子どもが片付けをしない。歯磨きをしない。何度叱っても直らない。
親野先生はこういう時に
「片付けをしなさい!」「歯磨きしないと遊ばせないよ!」などと
子どもを叱る親が多いと言います。
しかし、
このように「否定的に叱ること」は1つもメリットがないとのことです。
「〜〜しないとダメでしょ!」という叱り方もその1つ。

こうした叱り方は、子どもの自己肯定感を失わせ、
自分に自信が持てなくなる可能性があるということです。
さらに親野先生が心配していたのは、モデリング効果による
『裏教育』だと言います。
モデリング効果は心理学の言葉で「モデル(この場合は親)となる人の
言葉や動作を見て、自分も真似すること」。
つまり、こうした叱り方をされ続けた子どもが
「何かできないことがある相手に対し、それを理由に責めたり、
とがめたりしてよい」という形で記憶し、
友達や兄弟に対し、責めたりする子になってしまうということです。
良かれと思って叱った親の意図とは違う形で伝わってしまうため
『裏教育』と呼んでいるそうです。

では、子どもを否定的に叱らずに、物事をやらせるにはどうすれば良いのか。
親野先生は「言葉と方法を工夫しよう」と提案されていました。
子どもに何かをやらせたい場合は「〜〜しなさい」ではなく、
「〜〜しよう」「〜〜するとよいよ」という前向きな言葉を使う。
方法(やり方)の工夫に関しては、例えば歯磨きをしない子どもであれば、
食後にガミガミ怒るのではなく、食卓のお箸の横に歯ブラシを置いてみる。
これだけのことでも子どもは食後の歯磨きが意識でき、
自発的にやる可能性が高まるそうです。

この「言葉と方法の工夫」は、PTA活動でも必要だなと感じました。
保護者から文句の出やすいPTA活動を
いかに快く、前向きに、そして楽しく活動してもらうか。
そのためには言葉を少し言い換えてみたり、やり方を変えてみる。
少しの工夫で、多くの保護者に「今までのPTA活動とは違う」という印象を
持ってもらえる可能性があるのかなと思いました。

【地域の中の学校】
第7分科会の最後は、とある校長のお話でした。
この校長によると「18歳以下がいる世帯」は
昭和61年が46.2%だったのに対し、
現在は22.6%に半減しているそうです。
校長は「学校に関わる世帯がおよそ2割になっている。
多くの人たちにとって、学校は自分の生活と関係ない場所に
なっているのではないか」とおっしゃっていました。
最近、一部で「学校は迷惑施設だ」という過激な言われ方もしています。
未来の人材を育てる学校が、このような言われ方をするのは
保護者の一人として悲しい気持ちになります。
地域の中の学校のあり方。
保護者として協力できることは限られてはいますが、
そこにも工夫が必要なのかなと感じました。